My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

「いい加減に離せ! めちゃくちゃ目立ってんだろうが!」
「いいではないか。むしろ皆にこのラブラブっぷりを見せつけてやればいい」
「ふっざけんな!!」

 街中で怒声を上げるラグに苦笑しつつ、私はセリーンに言う。

「でも良かったね。ドゥルスさんと再会出来て」
「あぁ」

 やはり嬉しそうなセリーン。

「それに術士だって言っても平気な人で良かった」
「あぁ。ドゥルスは以前にも戦場で術士に傷を治してもらったことがあるそうでな。術士に対して好意的なんだ」
「そうだったんだ」

 こっそりラグを見るが、セリーンの腕から抜け出そうと必死らしく聞いていたかどうかわからなかった。

「しかし、城の中は思ったより敵が多そうだな」
「うん。王子が戻りたくないって言ってた気持ちがわかったかも。それに……」
「フォルゲンのことか?」
「うん。ライゼちゃん、このこと知ったらどう思うだろうって……あ!」

 私はそこであることに気が付き思わず立ち止まった。 

「ひょっとして、ビアンカがお城の方をずっと見てたのって」
「あぁ、おそらくはそうだろうな」

 セリーンも気づいていたみたいだ。私は視線を落とし言う。

「フォルゲンさん、フェルクに帰れないかな。ビアンカがいればすぐだし、無事だってことだけでも伝えにさ」
「そうだな。城で会えるといいのだが……。それとクラヴィスの件だが、一応ヘタレメガネにも伝えておくか」
「うん、そうだね。クラヴィスさん実はあんな性格だし、多分誤解だと思うけど」

 誤解であって欲しい。そう思った。

「さぁ急ごう。流石に待たせ過ぎたな」
「うん!」
「はーなーせー!!」

 緑の中に突き出た白い塔を見上げ、私たちは足早に歩き始めた。

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