My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「遅いぞ! 服を用意するのにどれだけかかっているんだ!」
開口一番に王子に怒られてしまった私たち。
「す、すみません! ちょっと色々あって……」
すでに元の姿に戻っているラグは、涼しい顔で服の入った包みをアルさんに投げて渡した。
「何やってたんだ? いい服がなかなか見つからなかったのか?」
少し疲れた様子のアルさんにどこまで喋っていいものかとセリーンを見上げる。
すると彼女は王子に向かい謝罪した。
「すまなかった。昔の知り合いに偶然出会ってな、つい話し込んでしまった」
それに素早く反応したのはアルさんだ。
「昔の知り合い? ま、まさかそれって男だったり……」
「あぁ。昔とても世話になった男だ」
さらりと答えたセリーンにアルさんは電撃に打たれたような顔をした。
完全に勘違いしているだろう彼にあとでちゃんと教えてあげなきゃと思いつつ、私はそのあとを続ける。
「でも、お蔭でビアンカがああしている理由がわかったんです!」
指差した先にいるビアンカはやはりまだお城を見つめたままだ。