My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「兄さま。この者たちは?」
「僕が見つけてきた医師だ」
するとデュックス王子の顔が再び輝いた。
「やっぱり! 兄さまが選ばれたということはきっと素晴らしいお医者様なのでしょうね!」
その期待の眼差しが私に向いていて焦る。
「い、いえ、私は助手……というか、」
「お医者様はあちらですよ、殿下」
クラヴィスさんが少し離れたアルさんを指し示した。
アルさんが首を傾げる。向こうにはこちらの会話は聞こえていないようだ。
デュックス王子がアルさんを見つめたその時。
「――そうだ。デュックス、早速その傷を治してもらうといい」
「え?」
お兄さんの言葉にデュックス王子はきょとんとした顔をした。
クラヴィスさんもそんな主の言葉に驚いたようで。
「殿下!」
「丁度いいじゃないか。この程度の傷ならすぐだろう。デイヴィス医師!」
いきなり呼ばれたアルさんが驚いた顔で己を指さした。
「弟の傷を治してくれないか?」