My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「僕もいつか行ってみたいです!」
「そうだな。いつか……」
言いかけ、その視線が何かを捉え王子は足を止めた。その先には。
「これはツェリウス殿下! よくぞご無事で……!」
歓声を上げて足早に近づいて来たのは初老の男性。
円筒形の帽子を被り、上質そうな長衣を纏ったその格好から使用人や騎士とも違う、もっと高貴な人なのだとわかった。
クラヴィスさんとフィグラリースさんまでが脇に避け頭を下げるのを見て、私も慌ててそれに倣う。ラグ、アルさん、セリーンも同様にした。
「じいさま!」
デュックス王子が声を上げる。
(――ってことは、この人が例の、暗殺者を送り込んだ張本人!?)
確か名前は、プラーヌス。
まさかこんなに早く会うことになるとは思わなかった。
「心配していたのですよ、急に発たれるものですから。いやこれで陛下も安心されましょう」
白い眉を下げ優しい声音で言うプラーヌス。一見、暗殺なんて考える人には思えない。
だがツェリウス王子の目はとても冷たい。やはり彼もこの人を疑っているのだろうか。
と、プラーヌスと視線が合ってしまい私は慌てて目を伏せた。
「この者たちは?」
「僕が見つけてきた優秀な医師とその助手たちだ」
ツェリウス王子がはっきりと答える。