My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「あぁ。道中邪魔になったのでな」
自分の髪を横目で見ながら、しれっと答える王子。
「そうでしたか……。しかし金の髪はこの国の王の証し。どうぞ大切になさってください」
瞬間どきりとする。
王子はそれには答えず表情も変えない。
プラーヌスはしかし特にそれで気分を害した様子なく続けた。
「いやそれにしても良かった。皆で御身を案じておりましたが、クラヴィスの申す通りお医者様を探すために城を出られたのですね」
無言で王子が視線を上げる。
プラーヌスは元々糸のような目を更に細めた。
「余りに急だったもので、よもや殿下が王位を放棄されたのでは……などと言う者も出る始末。杞憂に終わりこのプラーヌスほっといたしました」
口調は実に穏やかだった。
だが、その場の空気が一気に張りつめたのがわかった。
それまでにこにことしていたデュックス王子もそれを感じ取ったのか戸惑うように二人を見上げた。
「それでは、わたくしめはこれにて。皆に殿下の無事を知らせなければ。ささ、殿下は一刻も早く陛下の元へ」
言って道を開けるプラーヌス。
――このぴりぴりとした空気を嘲笑うかのようだった。
ツェリウス王子が、小さく鼻を鳴らした。
「残念だったな」
「は?」
一瞬、呆けたような顔をしたプラーヌスにツェリウス王子は堂々と告げる。
「プラーヌス。僕は必ず、この国の王になる」
プラーヌスの眉が跳ね上がるのを見た。
王子はその横をすり抜け先に進んでいく。
私たちも慌てて一礼しその後を追った。
デュックス王子がこちらについて来ながら、プラーヌスのまだ動かない背中を不安げにちらちらと振り返っていた。
自分の髪を横目で見ながら、しれっと答える王子。
「そうでしたか……。しかし金の髪はこの国の王の証し。どうぞ大切になさってください」
瞬間どきりとする。
王子はそれには答えず表情も変えない。
プラーヌスはしかし特にそれで気分を害した様子なく続けた。
「いやそれにしても良かった。皆で御身を案じておりましたが、クラヴィスの申す通りお医者様を探すために城を出られたのですね」
無言で王子が視線を上げる。
プラーヌスは元々糸のような目を更に細めた。
「余りに急だったもので、よもや殿下が王位を放棄されたのでは……などと言う者も出る始末。杞憂に終わりこのプラーヌスほっといたしました」
口調は実に穏やかだった。
だが、その場の空気が一気に張りつめたのがわかった。
それまでにこにことしていたデュックス王子もそれを感じ取ったのか戸惑うように二人を見上げた。
「それでは、わたくしめはこれにて。皆に殿下の無事を知らせなければ。ささ、殿下は一刻も早く陛下の元へ」
言って道を開けるプラーヌス。
――このぴりぴりとした空気を嘲笑うかのようだった。
ツェリウス王子が、小さく鼻を鳴らした。
「残念だったな」
「は?」
一瞬、呆けたような顔をしたプラーヌスにツェリウス王子は堂々と告げる。
「プラーヌス。僕は必ず、この国の王になる」
プラーヌスの眉が跳ね上がるのを見た。
王子はその横をすり抜け先に進んでいく。
私たちも慌てて一礼しその後を追った。
デュックス王子がこちらについて来ながら、プラーヌスのまだ動かない背中を不安げにちらちらと振り返っていた。