My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
と、そこでハっと思い出す。
「そうだ。アルさんに言わなきゃいけないことがあるんです!」
「ほえ?」
首だけ起こしたアルさんに駆け寄ろうとして、私は念のため開けたばかりの窓をそっと閉めた。
――王子たちがいない今がチャンスだ。
アルさんの隣に腰かけ、私は声を潜めて話し始める。
「どうやら、さっきのプラーヌスって人が例の暗殺者を送り込んだ張本人らしいんです」
「あー。なんかそんな感じだったな」
「え?」
「いや、あの王子の態度見てりゃーなぁ」
アルさんは溜め息交じりにもう一度背もたれに寄りかかった。
「ハハ、ですよね……。それともう一つ、これは多分誤解だと思うんですが……」
そう前置きしてから、私はクラヴィスさんのことを話した。
するとアルさんもそれには驚いたようで。
「クラヴィスが? ……そっか。ま、カノンちゃんの言う通り誤解だとは思うけど、わかった。一応頭に入れとくわ」
そう言ってくれてホっとする。
「でもこんな情報誰から……って、あぁー!」
急に大きな声を上げアルさんはガバっと起き上がった。
「ひょっとしてあれか!? 例のセリーンの昔の男!」
「誰が昔の男と言った。昔世話になった男だ」
剣呑な目つきで訂正するセリーン。