My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

 ツェリウス王子は話しかけられる雰囲気ではないし、王妃様も王様を見つめたまま口元を両手で覆い、その手が小刻みに震えているのがわかる。
 まだ小さいけれど、今一番状況を訊きやすいのはデュックス王子だ。

「急に出てきたというのは、紋様のことですか、それとも」
「このおでこのやつだよ! 紋様は前からなんだ……」

 お父さんに視線を移して、辛そうに続ける王子。

「最初に倒れたときはおでこだけで、それからどんどん増えていって……。でもこんなモンスターみたいな角は出たことなかったのに……!」

(――もしかして、デュックス王子はお兄さんがモンスターの姿になれること、知らないの?)

 知っていたら動揺していたとしてもそんな言い方はしないはずだ。
 確かにツェリウス王子はこのことを知るのはごく一部の者だけだと言っていたけれど……。

 そこで気が付く。

(ひょっとして王様もモンスターに変身できるの……?)

 そうだ、確かツェリウス王子は金の髪とそしてモンスターに変身してしまうこの呪いが王の証だと言っていた。

 だとしたら街中のお医者さんを集めても一向に良くならないという理由もわかる。
 これは普通のお医者さんがなんとか出来る病じゃない。

 “呪い”が関係しているんだ……!
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