My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
そこで私は先ほど気になったことを訊いてみることにした。
「あの、じゃあやっぱり王様も王子と同じようにあの金の獣に変身できるんですか?」
「見たことはないが、なれるんだろうな」
「王妃様やデュックス王子はそのこと……」
「知らないようだ」
「あの宰相は? プラーヌスだっけか」
続けて訊いたのはアルさん。
「知らないはずだ。……大抵の者は皆、金髪とこの紋様は単に王の証しであると思っている。呪われた王家だなんて知れたら色々とまずいだろうからな。ずっと秘密にしてきたんだろう。僕も、この部屋に入りその書物を見るまでは知らなかったんだからな」
ごくりと喉が鳴っていた。
ずっと隠されてきた王家の秘密を、私たちは知ってしまったことになる。
「――ん? ならなんでクラヴィスは知ってんだ?」
アルさんがふと気づいたように呟くと、王子の頬が瞬間ぴくりと引きつった。
確かに。王妃様や弟のデュックス王子が知らないのに、いくら従者とは言えクラヴィスさんが知っているのはおかしい気がする。
「……見られたんだ。獣に変わるところを」
不覚とばかりに王子。
その悔しげな表情を見て心内でこっそり苦笑する。
ひょっとしたら王子は昔からちょくちょく隠れて変身していたのかもしれない。
(クラヴィスさんもきっと初めて見たときは驚いただろうなぁ)
そのときの二人を想像していたときだ。
「……代々の王は皆ああした病にかかってきたのか?」
セリーンが難しい顔で言った。