カフェオレでお願いします

｢…｣

｢別に言いたくねーなら言わなくていいけど
俺、部外者だし｣


……。

…つい……逃げてしまったけど…

……目の前で泣いてる人がいたら
誰だって何事だって思うよね

私だって、その場に居合わせたら
きっとその人の事が気になって仕方なくなる


……
……
……


｢……し、失恋……して……｣

｢…｣

｢ずっと、好きだったから……く、苦しくて……｣


事情をと思ったけど
話してて、また悲しくなってしまって

びっくりして止まっていた涙が
また、目の縁にたまっていく


｢…｣


……だめだ


しゃべったら、泣く


……
……


これ以上涙を溢さないようにぐっと唇を噛んで
うつ向いた私の顔に


伸びてきた大きな手


緩く顔を上げると
黙って私の言葉を聞いてくれていたその男の子が


セーターの袖口で
そっと私の目の縁に溜まった涙を拭う



｢……笑わ、ないの……？そんなことでって……｣

｢なんで笑うんだよ｣

｢……だって……｣




『たかが恋愛で、なにを本気で泣いてるの？』



『振られるのなんて当たり前の結果じゃない』


……。

……昔、そう言われて……笑われたから



｢お前にとっては｢そんなこと｣じゃねーだろ｣

｢…｣

｢それだけ好きな相手だったんだろ
真剣に好きだったんだろ？
だったら、悲しくなんのなんて当たり前だろ｣

｢……っ、｣