A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察
杏には、お礼や謝ることなど、
先生に伝えたいことが沢山ある。
先生の方を見ると、杏のカルテを
真剣な顔で確認しているようだった。
でもいざ先生を前にすると、
鍛えているとわかる腕や首筋、
整った横顔が目に入ってくるだけで、
何も言葉が出てこない。
(…どうしよう!緊張して何も言えない!)
そうこうしてると、先生はイスを
こちらに向けて杏に話しかけた。
「気分はどう?胸の音から聞くよ」
そう言って聴診器を首から外した。
杏は黙って頷くのが精一杯だった。