A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察
「ゆっくり深呼吸して」
杏は緊張した様子で、
言われるがまま先生の言う通りにする。
でも心臓がドキドキしすぎて、
落ち着いて呼吸なんてできないよ。
「…もう少し大きく呼吸できる?」
咳が出そうになるのを我慢して、
もう黙って先生の言うことを聞くしかない。
杏はゆっくりと、
さっきよりも深く息を吸って吐いた。
先生は何も言わないまま、なかなか
杏のカラダから聴診器を外してくれない。
外で降りそそる雨の音が聞こえるくらい、
静かな時間が2人の間に流れていく。
しばらくすると先生は
ようやく聴診器を外してくれた。