A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察
5章 暖かな光
新しい世界
いつもよりぐっすり眠れたせいか、
次の日はだいぶ体調が良くなっていた。
昨日は体調のせいもあって
頭があまり回っていなかったが、
広瀬先生との約束を思い出すと、
いまさらながら胸がドキドキしはじめる。
“他の誰にも弱さ見せなくていいから、俺にだけ教えてーー”
急に恥ずかしくなって、
手で顔を覆うと、
自分の顔も少し熱くなっている。
(どうしよう/// 先生の顔、見れないや…)
冷静になって考えられる今、
あの至近距離でじっと見つめられて、
直接あんなセリフを言われたなんて…
嬉しすぎてニヤけてしまう。
気分を紛らわそうと、
急いで近くにあった本を開いて
読み始めた時だった。
「杏ちゃん、今日も勉強?偉いわね」
そう言って部屋に入ってきた
看護師のさやかさん。
杏の体温を図り終えると、
"頑張ってね"と手を振りながら
笑顔で部屋を出て行った。
しばらく集中していたが、
そろそろ休憩をしたくなってきた頃。
時計を見ると、もうすぐお昼だった。