A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察



病院の入り口まで、
さやかさんは送ってくれた。



杏は白石先生と広瀬先生にお世話になった
お礼を伝えてもらうよう頼んだ。



「あぁ!そういえば!」



さやかさんがポケットから
何かを取り出して杏に渡した。



「これ!昨日夜勤中に広瀬先生から杏ちゃんに渡して欲しいって頼まれたの。

本当はずっと直接渡したかったみたいだけどね」


そう言って小さな紙を渡された。



「結局杏ちゃんが起きてるときには会えそうになかったみたいで…

いつもクールな先生があんな顔するなんて私初めてーー…」


そう言い終わらないうちに
さやかさんの携帯が鳴り、


急いで戻らなければならないらしく
電話したままここで別れを告げた。



さやかさんは申し訳なさそうに
後ろを振り返りながら、



見えなくなるまで
杏達に手を振ってくれている。



杏の手に握られていたのは、
広瀬先生の名刺だった。



よく見ると裏に青いペンで
手書きのメッセージがあった。



”退院おめでとう。約束、覚えてるよね?”

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