A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察



そのまま走り過ぎていくのかと思ったら、
数メートル先でゆっくりと止まった黒い車。


信号でもないところで止まるなんて、
なんだか少し変。


気にせず横を走りさろうとした時、
突然その車の窓が開いた。



「こんな雨の中で風邪ひくよ!とりあえず車に乗って、3人とも送るから」



心配そうな顔をして、
窓から声をかけたのは白石先生だった。



「白石先生ー!」



後ろのドアを開けてくれた先生に、


“ほら、早く”なんて言われながら
3人は車に乗り込んだ。


ドアを閉めて運転席を見ると、
そこには広瀬先生がいた。



「本当に助かりました!突然雨が降ってきちゃって」



そう言った梨香もすぐ広瀬先生に気がつき、
一瞬だけ驚いた顔になったが、


すぐ夏帆と杏の顔を見ながらニヤけている。



いい匂いがする高級そうな先生の車。



落ち着いた重音のBGMとは対照的に、
ドキドキが止まらないびしょ濡れの杏。



広瀬先生にまた会えた嬉しさを感じつつも、



いきなりこんな風に再開するなんて
全く思ってもいなかった。


軽いパニック状態で
先生の顔だって見れない。




「杏、また蓮に捕まったなー笑」
< 131 / 165 >

この作品をシェア

pagetop