A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察
予想にもしなかった先生の言葉に、
嬉しさと驚きで頭の中がいっぱいになる。
「本当はもう少し後に伝えようと思ってたけど」
そう言いながら先生は、
杏に体温計を手渡した。
さっきから顔が火照っているのを感じる。
こんなカッコ良くて自分のことを真剣に考えてくれる先生の彼女になんてなれたら、
夢みたいに嬉しすぎるし、
もっともっと本当の自分に戻れる気がする。
…それでも、ココロの隅でふと不安がよぎってしまう。
ーーでも、本当に、自分の気持ちにもっと正直になっていいのかな?
そんなマイナスな気持ちを
見透かしたように、先生は言った。
「すぐに答えを出さなくていい。
けど、深呼吸して、杏のココロが本当はどうしたいのか分かったら、俺は知りたいよ。
それが一番大切だから」
先生の言うとおりだった。
何でも我慢することが
大人だと思っていたけど、
そう感じる時こそ、
ちゃんと自分のココロに向き合って、
本当の自分を大切にしなきゃ。
消えてなくなりそうになっていた
"自分らしさ"が戻ってくる感じがした。
「先生とずっと一緒にいたい。」