A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察
「…やっぱり、また気持ちが落ち着いたらにしよう。無理にはできないから」
先生は立ち上がると、
持っていた注射器をトレーに置いた。
用意していた他の器具やガーゼも
一緒に片付け始めている。
セットを元の場所に戻しに、先生が
部屋の奥に向かって歩き出した時だった。
「…待って」
先生が振り返ると、
左腕をおそるおそる出している
杏の姿が見えた。
「先生…やっぱりお願い」
ずっと迷惑ばかりかけているのに、
いつも向き合ってくれる先生の言葉を聞いて、杏のココロが動いた瞬間だった。