A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察


「それでついにある時、誰もいない隙に悠は一人で病院を抜け出したんだ」



気づいた看護師、
連絡を受けた蓮や白石先生が


すぐさま悠を探しに行った。
そんな中、蓮には心当たりがあった。


近くの公園に駆けつけると、


思った通り悠は楽しそうに
サッカーをしていた。



「蓮はすぐに悠を病院に連れ戻したけど、病院についてから悠の容態が急変して。そのまま集中治療室に運ばれていった」



悠は集中治療室に入ったまま、
2日が過ぎていった。


その間、蓮は弟が外に行かなくても
楽しめるよう、サッカーのゲームや
本を用意して、


喜ぶ顔を思いながら
悠の帰りを心待ちにしていた。


そしてまたいつか一緒に、
元気にサッカーする姿を想像しながら。




ーーしかし3日目の朝、
悠の小さいカラダは長かった最後の戦いに、
静かに終わりを告げた。


12才という若さで、この世を去った。

< 89 / 165 >

この作品をシェア

pagetop