A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察
午後はあまり勉強に集中できなかった。
ふとした瞬間に、
広瀬先生のことが頭に浮かぶ。
(明日ちゃんと会えるかな…
もう迷惑かけたくないよ…)
しばらく勉強を進めていたが、
雨足が強くなってきた。
辺りが少しずつ暗くなってきたので、
今日は病院に戻ることにした。
帰り道は音楽を聴いて帰った。
周囲の音は消され、自分だけの世界になる。
雨で濡れた道路は、
信号機の色がかわるたび、
その色を一面に反射させて美しかった。
日常の些細なことや周りの言葉に、飲み込まれそうになりながらも、
こうしていつもと少し違うところを見つけて楽しむのが、杏は得意だった。