ラストトーク〜君がページをめくる時〜

卒業生の多くが静かに泣いている。止めようと思った涙は止まらない。

「夢を応援してくださった先生方、僕らを慕ってくれた在校生の皆さん、そしてともに笑い合い、困難を乗り越えてきた三年生のみんな、ありがとうございました」

体育館は拍手で満たされる。私も涙を拭い、大きな拍手を送った。

私も伝えるよ、「ありがとう」を……。

最後に三年生は歌を歌う。歌うのは、初音ミクの桜ノ雨だ。

ピアノをクラスメートが弾き、私たちは歌い始める。私の頭の中にはみんなとの出会いや、みんなと過ごした日々があった。

忘れないで。いつかまた逢おう。私たちは一人じゃない。

いつもみんなを盛り上げてくれていたムードメーカーの茜ちゃん、色々な知識で私たちを助けてくれた光矢くん、しっかり者で頼りがいのある智絵くん、努力家だけど何もないフリをする誠司くん。

みんなの顔を思い浮かべながら、私は歌った。



卒業式が終わった後、私はみんなに「渡したいものがあるの」と声をかけた。