ラストトーク〜君がページをめくる時〜
「何?」

茜ちゃんが真っ赤な目をしたまま笑う。私はかばんの中から本を取り出し、みんなに配った。

「ラストトーク〜君がページをめくる時〜……?これって……」

光矢くんが私を見つめる。

「私がみんなに書いた小説だよ」

みんなはゆっくりとページを開く。みんなのために書いた世界でたった四冊しかない本だ。



彼女は何も知らない。本当の友情も、優しさも、愛も知らない……。

「転校生を紹介するぞ〜」

担任の先生の言葉に、机に突っ伏していた飯田朱莉は顔を上げる。ちょうど先生が教室のドアを開けるところだった。転校生が入ってくる。

ショートカットの髪に、どこか寂しげな目をした女の子。朱莉はじっと転校生を見つめた。

「……伊藤結衣です……」

消えてしまいそうな声で、結衣は自己紹介をする。その声もとても寂しげで、朱莉はますます彼女から目が離せなくなった。

「じゃあ結衣はどこに座ってもらおうかな〜?」
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