ラストトーク〜君がページをめくる時〜
朱莉は泣きながら言う。結衣は言葉を失った。今まで、そんなふうに人から言われたことなどない。

「俺たちはいつだってお前の味方っす」

聖也がポンと結衣の頭に手を置く。結衣は初めて人の温もりに触れた。



教室はいつの間にか静かになっている。ペラリとみんなが本のページをめぐる音だけがあった。

結衣は朱莉たちと様々な困難を乗り越え、思い出を作っていく。しかし、結衣は引っ越さなくてはならなくなってしまった。結衣は愛や友情を教えてくれたみんなに何かできないかを考える。そしてみんなに手紙を書いた。みんなは物語を読み終え、あとがきに目を通す。



読んでくれてありがとう。この小説は、波花珊瑚としてじゃなく一色夢芽として書いたんだ。だって、私はこの結衣のように本当の友達がわからなかったから。

私は東京では、いつも友達に合わせていたんだ。違うことを言えば仲間外れにされる。それが怖くて、いつも我慢してた。そして疲れ果てて、友達ってめんどくさいなって何度も思った。
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