恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―
「あ、なんだ。そうなの? じゃあ、昨日モデルハウスでなに話してたの? ふたりを見たって子の話だとかなり親密そうだったって話なんだけど」
追及され、ふたたび答えに困る。
就業時間内にプライベートな話をしていたことは反省しているけれど、そもそも私が瀬良さんとなにを話していても宮崎さんにも他の社員にも関係ない。
今、こうして聞いてきているのは興味と……あとの大部分はプライドの問題なんだろう。
宮崎さんは現在進行形で瀬良さんを狙っているみたいだし、〝私にはなびかないくせに〟というような気持ちがあっても不思議ではない。
高校の頃から瀬良さんを巡って他の女子生徒に問い詰められることは少なくなかっただけに、この手の呼び出しは慣れたものではあった。
……ただ、社会人になってまでこんな目に遭うとは思っていなかったけれど。
「聞いてるの? っていうか、もしかして喧嘩売ってる?」
眼差しを厳しくする宮崎さんに、このまま黙っているわけにもいかず、もう幼馴染なんだとバラしてしまおうか……と、いよいよ口を開いたとき。
「その噂は間違っている。白石と話していた相手は俺だ」
そんな声が聞こえた直後、隣に気配を感じて勢いよく顔を上げた。