恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―


売店には、お土産用の箱入りのお菓子から、要冷蔵のちょっとしたスイーツまで売られていた。

柿谷先輩が〝ご当地限定プリン〟を選んでいる隣で、内心ほっとしていた。
瀬良さんが営業成績トップを守っていると知ったからだ。

私とのことがあったからと、落ち込んで成績が落ちてしまうかもしれないなんてうぬぼれていたわけではないけれど、話し合いの最後、瀬良さんは肩を落としていたようにも見えたから……気がかりではあった。

成績がトップだからといってイコール元気というわけではないにしても、とりあえず、それなりに仕事はできているようでよかったと思う。

さっき、袴田さんにぐいぐい来られているときに見せていた笑顔もいつも通りだったし、そこにも少し安心していた。

「あ、鍵……そうか、私かー」とスマホを見た先輩が呟き、私を見る。

「一緒の部屋の山岡さんが、部屋に入れないでいるんだって。鍵私が持ってるし、もう戻らないと」
「あ、そうなんですね。じゃあ急がないと」
「うん。これだけ買って戻る。いいなぁ、白石はひとり部屋で。山岡さん、悪いひとじゃないんだけど、ちょっと神経質っぽいから気を使うんだよね」

そう嘆きながら、お会計を済ませた先輩が戻っていく。
その後ろ姿を見送ってから、私もなにか買おうかなぁと、限定商品である豆乳のパックジュースを手にとって眺めていると、「あれ。白石さんだよね」と声をかけられた。


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