恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―
オムライスを食べながら、そもそも女性恐怖症ってなんだろうとひとり考える。
恐怖症といえば私にも若干、集合体恐怖症はある。けれど、〝やだそれ、見たくないー〟程度の私のそれと北川さんのそれは、レベルが違いすぎて比べようがない。
お行儀が悪いな、と思いつつも気になってしまい携帯で調べ、一番に出てきたサイトをクリックする。
そのサイトの情報によれば、女性恐怖症の原因は色々あって、たとえば恋愛感情を裏切られたり、プライドを傷つけられたり、もっと深いところでいえば幼少期に受けた暴力だとか家庭環境なんかも影響してくるらしい。
「家庭環境……」
噂では女性関係が原因って話だけど、それも定かじゃない。
もしも家庭環境とかだったら私じゃ到底解決できないし、そんなところを素人の私がいじっちゃったら悪化しそうだ。
イメージでしかないけれど、そういった精神的なものを抱えている人って、心がある場所の手前に何重にもシャッターを作って閉じている気がする。
精神科の先生は、きっとそれを一枚一枚時間をかけて開けていき、傷ついた心にそっと寄り添うんだろう。傷が見えないぶん、治ったかどうかの判断だってつきにくそうだし、本当に根気が必要な作業だ。
……専門の先生だって時間をかけてやっと治すような症状なのに、素人の私にできることなんてある?
頭を抱えたい思いに駆られながらも、スクロールしていき、ある項目でピタッと指が止まった。
それは〝女性恐怖症のひとの心を開くには〟という項目だった。