恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―
「高校の同窓会の知らせきた? 連絡とれる範囲のヤツらで集まろうって話らしいけど」
「ああ、うん。来てたね」
そういえば、数日前、そんなメッセージがきていた。
広いお店を借りるし料理もバイキングだから厳密に出席人数を確認する必要もないみたいで〝来れたら顔出してね〟くらいの緩いお誘いだった。
だから私も、〝行けたら行くね〟とだけ返したのが二日前。
メンバーは特に聞かなかったけれど……そうか、瀬良さんも誘われていたのか。
「誰から?」
「なにが?」
「誰から連絡が入ったの?って」
真面目な顔で聞いてくる瀬良さんに、戸惑いながらも「幹事の美香だけど……なんで?」と返す。
そんな重要視する部分にも思えず不思議に思っている私に、瀬良さんは「別に」と答えたあとで聞く。
「で、行くの?」
「瀬良さんは?」
「俺が聞いてるんだけど。白石サンが先に答えてよ」
にこっとした偽物の笑みで言われ、目をそらす。
少し垂れ気味の、アーモンド型した目に見つめられると、胸が甘い悲鳴を上げるようだった。
心臓がうるさいせいで、平静を装うのが大変だ。
頬が赤くなっていないか気が気じゃない。
瀬良さんだけじゃなく、周りの視線からも逃げるようにうつむいて口を開く。
「たぶん、行くと思う」
「ふぅん。俺も行く。よければ一緒に行く? 会社から向かうなら同じ道だろうし」
微笑みを浮かべたままの誘いに、ぎゅっと手を握り締めてから首を横に振った。
「……行かない」
瀬良さんはまるでショックでも受けたみたいに、一瞬微笑みを消し、それからまた笑う。