恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―

「昨日、あれから同窓会だったんですけど、みんな仕事頑張ってるみたいでした。転職重ねてたり、後輩指導したり」

角を曲がると、駅が見えてくる。
お店からここまでは、ひとりだったらちょっと心細くなるような街灯の間隔だった。駅に近づくにつれ、その間隔が狭まっていた。

「高校の同窓会か?」
「はい」
「じゃあ、瀬良も?」

瀬良さんと私が同じ高校だったとよく覚えていたなぁと思いながら、苦笑いを浮かべてうなずいた。

「来てました。で、すごくモテてました。店員さんからも連絡先渡されたりしてて……やっぱり、過去にモデルなんてしていた人はオーラが違うんですかね」

「モデル? 確かに、雰囲気的には合いそうだな」

しみじみと言われ笑っていると、北川さんが私に視線を落とした。

「瀬良が一緒で、嫌な思いはしなかったか?」

最初に食事をしたとき。
私は北川さんに嫌悪感すら抱いていた。食べるだけ食べさせて逃げ道を奪っておいて取引を持ち掛けてくるなんて、あまりに強引で横暴に思えたから。

自分さえよければ私なんてどうでもいいという態度にイライラもした。

――けれど。
本当は優しい人だったんだよなぁと実感しながら微笑みを浮かべる。


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