僕はクロッカスを、君はベゴニアを手に取った
夕暮れの教室。授業はもうとっくに終わったというのに、多くの生徒の声で学校は賑わっている。
十一月の下旬。外の空気は随分前から冷たくなっている。しかし、みんな寒さなどどうだっていいのだ。もうすぐ文化祭なのだから……。
僕、清水聖夜(しみずせいや)は舞台発表をすることになっている。友達と二人で曲を作り、発表するのだ。
「……やっぱり、なんかダメだな」
僕は、ノートに書きかけの詞をぐちゃぐちゃと消す。詞を考え出してからは、ずっとこんな感じだ。書いては消し、書いては消しの繰り返し。
一緒に歌う友達は、「俺、国語の成績悪いから作曲とか無理だわ。お前に任せるぜ!」とわけのわからない言い訳をして逃げていった。仕方なく僕は詞を考えている。
僕は高校三年生。今年が最後の文化祭だ。だから何か特別なことがしたくて、今までやったことのない舞台に立つというのを選んだんだ。
「あれ?聖夜くん、何してるの?」
不意に声をかけられ、僕はびくりとしながら顔を上げる。だってその声は、僕の好きな人の声だから……。
「文化祭で作詞作曲して歌を歌うんだ。僕が作詞する」
十一月の下旬。外の空気は随分前から冷たくなっている。しかし、みんな寒さなどどうだっていいのだ。もうすぐ文化祭なのだから……。
僕、清水聖夜(しみずせいや)は舞台発表をすることになっている。友達と二人で曲を作り、発表するのだ。
「……やっぱり、なんかダメだな」
僕は、ノートに書きかけの詞をぐちゃぐちゃと消す。詞を考え出してからは、ずっとこんな感じだ。書いては消し、書いては消しの繰り返し。
一緒に歌う友達は、「俺、国語の成績悪いから作曲とか無理だわ。お前に任せるぜ!」とわけのわからない言い訳をして逃げていった。仕方なく僕は詞を考えている。
僕は高校三年生。今年が最後の文化祭だ。だから何か特別なことがしたくて、今までやったことのない舞台に立つというのを選んだんだ。
「あれ?聖夜くん、何してるの?」
不意に声をかけられ、僕はびくりとしながら顔を上げる。だってその声は、僕の好きな人の声だから……。
「文化祭で作詞作曲して歌を歌うんだ。僕が作詞する」
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