シンデレラには····程遠い

···一緒に


その日、私が動けるように
なったのは、夜だった。
壁をつたいながら
やっとトイレへ

まだ·····
足の間に···違和感が···あるが·····

絢斗さんから
何度か心配の電話とLINEがきた。

仕事大丈夫なんだろうか
と、心配していると
玄関が開く音がして

絢斗さんがリビングダイニングに
顔を出した。

「やはり、ここか。」
「お帰りなさい。」
「ああ、ただいま。
    身体大丈夫か?」
「····あ~あっ····と、はい。
   少し違和感がある····かな···」
と、恥ずかしいと
思いながら答えると
少しだけ口角をあげた。
もぅ·····と、思っていると

美味しそうなお弁当を
広げてくれた。

「わぁ!!綺麗、もったいなくて
食べれるかな?」
と、言う私を見て
絢斗さんは、ビールを飲みながら
笑っていた。

その顔を見て
真っ赤になりながら
私も笑っていた。

なんだか、かんだと
言いながら全部ではないが
かなり食べた。

今まで一人でいることが
当たり前で、平気だったのに
絢斗さんがそばにいると
温かい······

誰かが一緒にいる空間に
なれた?
いや、絢斗さんだからだと思う。

でも···また····

一人の生活に戻るんだ
大丈夫だろうか?
と、考えていると
「鈴香、何を考えている?」
「えっ?」
「一人で、百面相か?」
「う~んと、自分一人の部屋に
戻れるかな?と思って。」
と、言うと
絢斗さんは、
「戻る?ふーん?」
「えっ、だって
絢斗さんが通常勤務に戻ったら」
「俺は、帰すつもりはない。」
「かえっ、帰すつもり····ない?」
「ずっと、俺と暮らせばよいだろう?」
「ずっと?」
「ああ、俺は、いつでも
鈴香の御両親にご挨拶に
     行くつもりだが。」
「··················
恋愛おんちの私でもわかる
絢斗さんの言った意味は·····
「嫌か?」
と、言われて頭を横にふる
そんな私を抱き上げて
自分の膝に横抱きをする絢斗さんに
「ひゃっ!」
と、言うと
絢斗さんは、クスクスっ、笑っている。

「だが、鈴香は、まだ学生だ。
俺に囚われずに
自分のやりたい事をやれば良い
俺は、一緒の場所に帰れたら
それで良い。」
と、絢斗さんのブルーの瞳が
綺麗に輝いていた。

そんな絢斗さんを見つめ
真っ赤になりながら
「····私は····っ
綺麗でもないし
お金持ちでもありません。
両親も会社勤めです。
そん······
「鈴香。
俺は、鈴香が気にいっている。
他は、関係ない。
御両親がいてくれたから
鈴香が生まれたんだ。
そんな御両親に感謝以外ない。」
と、私の言葉を遮って
伝えてくれる絢斗さんに
私の腕は、絢斗さんの首に回って
「私も····すき」
と、絢斗さんに伝えた。

絢斗さんは、私の身体をギュッと
抱き締めてくれて
「鈴香、俺の気持ちを疑うな。
こんな気持ちは、鈴香だけだ。」
と、言われて
ウンウンと、何度も頷いた。
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