シンデレラには····程遠い

···葉瑠①


久しぶりに日本へ帰ってきた。

明日も仕事があるから
何時ものように
姉の鈴香のマンションへ

「えっ、ええっ~、聞いてないよ。」
と、あわてて携帯をかける。

「葉瑠?」
「なに?どういうこと?」
「ん?日本?」
「そう。姉貴のマンション」
「ごめん、引っ越したの。」
「なんで?姉貴、ここ気に行ってたよね。」
「う~ん。でも、引っ越したの。」
「どこに?今から行く。」
「葉瑠、待って。
前のマンションなら
その前の通りのカフェに居て。」
「ああ、わかった。」
と、話して電話を切り
カフェへと向かった。

姉は、気に行った場所があると
あまり、動く人ではない。
昔から、そうだ。

少し小腹も空いたし
簡単につまもう
と、注文して
珈琲とサンドイッチを食べる

ふと顔をあげる······と······

·····あね·····き····っ···?·····

俺を見つけると
「葉瑠、ごめんね。」
と、言って俺の前に腰かける。
俺は、姉の動向から目が離せずに
いると·····
「葉瑠、ごめん。怒ってる?」
と、何も言わない俺が
勝手に引っ越した事を怒っていると
姉は、思っているようだ

「姉貴、なんか雰囲気が違うね。」
「ん?そうかな?変わらないよ。」
と、二人で珈琲を飲んでいると
「鈴香ちゃん、兄貴は知ってるの?」
と、スーツをきた
ハーフ?の男性が
俺を見ながら言う

何?姉貴の知り合い?
「絢斗さんには、伝えていません。
弟から急に連絡があったので。」
と、姉が答える
ん?けんとさんとは?
「えっ、弟?」
と、びっくりするイケメンハーフ
「姉貴、けんとさんとは?」
と、訊ねると
「俺だ。」
と、別な所から声が
振り向くと彫刻のような綺麗な男と
これまた、眼鏡をかけたイケメンがいた。
「絢斗さん?」
「兄貴!!」
「で、どういう事だ。快斗」
と、その人の一言で
その場が一瞬で氷点下に

その人から紹介があり
うちの両親にも挨拶しているらしい

二人の男性は、びっくりしていたが

俺は、改めて
「姉がお世話になっております。
弟の菅野 葉瑠
モデルをやっています。」
と、サングラスを外すと
「あのHARU?」
と、眼鏡の男性に。
「あの?かわかりませんが
HARUです。」
と、言うと
「鈴香とは、似てないな。」
「葉瑠は、私と違って綺麗な顔なんです。」
と、言う姉に
「綺麗かなにか知らないが
俺は、鈴香の方が良い。」
と、姉の腰に腕を回して
姉に話しかける絢斗さん?

姉は、嬉しそうに笑っている
その笑顔に、なぜかドキっとして
しまった。

「鈴香、今日は早く帰る。
潤、行くぞ。
快斗、ここはお前持ちだ。
鈴香を送り届けろ。
それと、弟
家に泊まるなら部屋はある。」
と、言うと
眼鏡の男性と行ってしまった。

残った快斗さん?は
「二人とも、もう良い?
弟君は、どうする?」
と、訊ねられて
「あ~、今日はホテルに泊まって
実家に帰ります。」
と、答えると
「それじゃ、ここを使って。」
と、言われて紙を貰う
そこは有名なホテルで
「あっ、大丈夫です。」
と、断るが
「義理の兄のホテルだから
問題ないよ。」
と、口角をあげながら言う快斗さん?に
「義理の?兄?」
と、言って姉と快斗さんを見ると
姉貴は、真っ赤になっていて
あ~あ、両親に挨拶したと
言っていたな。
と、思いながら
「ありがとうございます。」
と、言った。

姉と二人、快斗さんの車に
乗せられて
「葉瑠、ごめんね。
絢斗さんも泊まって良いと
言っていたから
日本にいる間、来てね。」
「うん。だけど姉貴に
恋人ができて、その人と結婚なんて
驚きを通り越して
今日、エイプリルフールじゃないよね
って、感じだよ。」
「そうだよね。
本人が一番、そう思っているよ。
あんなにステキな絢斗さんに
綺麗でもなんでもなくて
お金持ちでもない、一般人の私が。
戸惑いもあったし。
そのこともきちんと絢斗さんに
伝えたよ。
でも、絢斗さんのそばにいたいの
絢斗さんにとって私が
邪魔にならないかぎり。」
と、話す姉の顔は
やはり、今までの姉の顔とは
違っていた。
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