シンデレラには····程遠い

⋅⋅⋅葉瑠③


「葉瑠、言いたい事は、それだけか?
他にもあれば、言え。」
と、言う藤堂さんに
「いいえ。」
と、答える。

この人のオーラに負けたくないが⋅⋅⋅
「そうか。それなら、
俺は、鈴香を手放すつもりは
毛頭ない。
たとえ、鈴香が離れたいと
言ってもだ。
俺は、正直、女に対して興味も関心も
まったくなかった。
俺をこうさせるのは、鈴香だけだ。

鈴香のくるくる変わる表情や
真面目さ、誰に対しても変わらない
人間性、そんな鈴香に
俺は、そばにいて欲しいと思っている。

それに、こいつが、
可愛くて、愛しくて
たまらないんだ。

こんな女性には、二度と会えない。
御両親には、鈴香が大学を卒業したら
結婚させて欲しいとお願いしている。
無論、俺の仕事関係に鈴香を
巻き込むつもりはない。

だが、鈴香が不安に思う事があるならば
俺の妻であることは、指し示すつもりだ。

俺は、俺の仕事に関係なく
鈴香は、鈴香のやりたい事を
やればよいと思っている。
帰る場所が、俺のとこならば
それで良い。」
と、言う
言いながら、姉の頭を撫でたり
頬をさわったりする藤堂さん。
「葉瑠。
ありがとう。
葉瑠の心配はわかるの。
私もそう思っているから。
それでも、私は絢斗さんと
いたいの。
絢斗さんから、邪魔だと
言われるまで⋅⋅⋅⋅⋅
そう、思っている。」
と、言うと
「鈴香。俺がお前を邪魔だと
思うことは、ない。
この先、色んな事があるだろう。
喧嘩をするかもしれない
誤解や食い違いがあるかも知れない
だがな、俺がお前を手放す事はない
逃げても俺の全ての力を駆使して
連れ戻す。」
と、言うと
姉は、真っ赤になりながら
「⋅⋅⋅⋅⋅けんっ、喧嘩なんかなりませんよ。
だって、絢斗さん、私が言う前に
私の考えを先に言っちゃうから。」
と、言う姉に⋅⋅⋅⋅⋅藤堂さんに⋅⋅⋅⋅⋅

「はぁっ、降参。
本当は、わかっていたんです。
母さんにも、姉貴と藤堂さんの邪魔
しないように言われたんです。
だけど、急にあなたのような方が
現れてびっくりするじゃないですか?
だから⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
と、言う俺に······

「うふふっ」
と、笑う姉
「なんだ?」
と、藤堂さんが言うと
「だって、葉瑠も快斗さんも
兄姉が好きなんだなぁと。」
と、思って
「快斗は、俺で楽しんでいるだけだ。」
と、答える藤堂さんに
「快斗さんは、お兄さんが大好き
なんですよ。
私の事も認められないみたいで。
あっ、勘違いしないで下さいね。
なんにも、嫌な事、されていませんから。
なんとなくわかるのです。
でも、葉瑠ありがとう。
私の事を心配してくれて
私も、葉瑠が大好きだし
葉瑠に幸せになって欲しいと
思っているよ。」
と、言う姉に
「好きかは、しらないが。
両親をなくしてから
ずっと、あいつと二人で
生きてきたからな。」
と、話す藤堂さん。

御両親の話を聞きながら
俺は、
「数々の失礼をすみません。
姉をお願いいたします。」
と、伝えると
姉は涙を流し
藤堂さんは、
「お前も、大切な義弟だ。
日本へ帰国したら、顔をだせ。
何か困ったことなどあれば、
鈴香でも、俺でも連絡しろ。」
と、言われて
「本当、かっこ良すぎて
かなわない。
だけど、そうさせて頂きます。」
と、言って
快斗さんから言われたホテルに戻り
明日は、実家に帰る事を
姉貴にも伝えた。

「お父さん、お母さんに甘えて
おいで。」
と、俺を見送りながら言う姉貴に
「姉さん、絢斗さんと
出会ってから綺麗になったね。」
と、伝えたら
えっ、と絢斗さんを見上げる姉に
絢斗さんは、口角をあげていた。
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