シンデレラには····程遠い
久しぶりの鈴香に
我を忘れてしまった。
今までの俺には
あり得ない事だ。
鈴香は、自分だけが
寂しいと思っているが
俺にも⋅⋅⋅⋅⋅⋅
この俺が⋅⋅⋅⋅⋅⋅
鈴香のいない生活は
寂しく、虚しかった
だが、そう言えば
鈴香は、俺から離れない。
鈴香の昔からの夢を
俺が壊して良いわけがない。
三年は、鈴香に悔いなく
やってほしい。
だから、次にフランスに戻る時は
約束事をするつもりだ。
そんな事を考えながら
スースーと俺の腕の中で眠る
鈴香をぐっと抱き締める。
無理をさせ過ぎてしまったが
俺の欲は、まだ、鈴香を欲していた。
そんな、自分にクスっと
笑いながら、鈴香のおでこに
キスをすると
« ホヤリ »と笑う鈴香
愛しくて⋅⋅⋅⋅⋅⋅たまらない⋅⋅⋅⋅⋅⋅
そう思っている間に
俺も眠りに落ちていた。
昼過ぎに鈴香を起こして
鈴香を実家へと送る。
両親に合うのが楽しみだろうに
元気のない鈴香
「鈴香、久しぶりの実家だ。
お父さんもお母さんも楽しみに
されている。
ゆっくり、過ごしたら良い。
結婚したら、そうそう帰すつもりは
ないからな。」
と、言うと
「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅はい。
絢斗さん、忙しいのに
ごめんなさい。
私の事は、心配せずに
お仕事してくださいね。」
と、小さい声でまっすぐ
前をみたまま言う鈴香に
「クスっ、鈴香。
実家とはいえ
鈴香が俺から離れて
俺が寂しくないとでも?」
と、言うと
驚いた顔をしたが
みるみる内に涙を一杯ためて
首を横にふる、鈴香。
鈴香の頭に手を置いて撫でると
その俺の手に鈴香は手を重ねる。
「ご両親に沢山甘えてこい。
きっと、心配しているはずだ。
そして、早く俺のとこに
帰ってこい。」
と、言うと
「はい。」
と、涙目で笑顔を見せてくれた。
本当は、ご両親の元へも
帰したくない。
ずっと、俺の腕の中に
入れていたい。
そんな風に思わせるのは
後にも先にも、鈴香だけだ。