シンデレラには····程遠い
本当に凄い人

あの顔で
ましてやスーツ姿で
片手に陽斗を抱き
片手で姉の腰に手をあてて
歩く·····

似つかわしくない状況なのに

この人は、難なくやる

本当に·····凄い·······

  ただ······その言葉につきる。


「凄いだろ?」
と、陽斗のベビーカーを
おしながらニコニコと快斗さん。

あっ、快斗さんも兄だ。

俺は、改めて気づいて
クスクスっ笑いながら
「はい。凄い人だと思います。
兄さんもですけどね。」
と、言うと
「ん?兄さん?
えっ、俺?」
「はい。快斗義兄さん。」
と、言うと
驚いた顔をしてから
破顔していき
「ねぇ、きいた?!
ねぇ、兄さん?!
鈴香ちゃん。
もう一回言って、葉瑠。」
と、嬉しいそうに。

まったく、イクメンなのに
こんなとこが···
きっと、好かれるんだろうなぁ

「行きますよ。
快斗義兄さん。」
「あ〜、いいね。
兄さんだって。
俺下がいないからさ。
めっちゃ、嬉しい。」
と、騒ぐ快斗さんに
「そんなに嬉しいなら
弟か妹がいる、相手を見つけて
結婚しろ。」
と、美形すぎる義兄が
「もぅ、慕っているのに
現実に引き戻すかな。」
と、言いながら
優しい眼差しを自分の兄に
向ける快斗さん。

本当に、絢斗さん好きだ。

「私も快斗さんにも幸せに
なって欲しいです。
もちろん、葉瑠にも。」
と、ほほえみながら言う姉に
快斗さんも、俺も
ドキッとして
二人で、息が漏れて
笑ってしまった。

姉は、そんな俺達を
キョトンと見ていると
絢斗さんが
「俺は、幸せだ。」
と、平然と言うから
勝ち目はない。

義兄の腕の中で
甥っ子は、義兄の顔をみながら
キャッキャッと騒いでいる。
こちらも絢斗さん好きだ。

どれだけ
人を引き付けるのやら。

仕事には、厳しい。
自分にも厳しい人だ。
だが、一度懐に入れると
必ず守る。

俺も少なからず
絢斗さんの用になりたい·····と
まあ、ちょっとだけ·····でも。

今日は、打ち合わせだけだから
実家に帰って母の味を楽しもう。
と、思った。
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