シンデレラには····程遠い
今日のパーティに
妻・鈴香が出席する事が
何故か、漏れていて
必要以上に人が集まっていた。
快斗も潤も警戒している。
もちろん、警護も雇っている。
日本大使館勤務のアレクシも
招待しているから風香も参加する。
子供達は、菅野の両親と
潤の妻の菜々実がみてくれている。
菜々実も妊婦だから
潤がぞの方が安心だと言って
申し訳なさそうな鈴香を
安心させた。
俺は、鈴香を自分の仕事に
巻き込まない用にしてきた。
鈴香には、自由に
自分のやりたいことを
やって欲しいと思ってきたから。
他の出席者が妻同伴だと
俺もと思わなくはないが
あの愛くるしい鈴香を
誰にも見せたくないのが本音だ。
本当に鈴香だけが
俺を捉えて離さない。
そんな鈴香が
今回のパーティに
迷惑でなければ参加させて欲しい
と、言ってきた。
一瞬、大丈夫かと思った。
鈴香は、人が沢山集まる所を
苦手とする。
だが、今回は俺も一緒に
参加できたらと
思っていたから嬉しかった。
鈴香のドレスは、俺が見立てた。
子供を二人生んでいるが
鈴香は、スマートなままだ。
着物も考えたが、
ドレスにした。
マーメイドタイプの
ワンショルダードレス
俺の瞳と同じブルー。
後の裾が長めで
手足の長い鈴香にとても似合う
長い髪をサイドにおき
イヤリングやネックレスを装着し
高目のミュールを履く。
場内が暗くなり
俺が鈴香と入り
後に共に手掛けた建築家
ホテルを任せる支配人
その後に快斗と潤。
俺達が入ると
一瞬、シーンとなり
壮大な拍手が湧く
鈴香は、俺を見上げてから
微笑む
きっと、大丈夫ですよ。
の意味だろう。
俺としたことが
妻に一本取られてしまった。
鈴香の腰に回した手に力を入れて
ぐっと引き寄せる。
と、みるみる真っ赤になる
鈴香に欲情する。
一歩ずつ鈴香と進み
俺はマイクの前に立ち
挨拶をする。
「どうぞ、心ゆくまでお寛ぎ下さい。」
と、伝えると
鈴香は、言葉と同時に頭を下げた。
回りからの沢山の拍手を頂く。
次に建築家と支配人の挨拶があり
俺は、鈴香の手を取り
会場を回る。
沢山の人から挨拶をされる。
必要無い場合は、
潤と快斗が対応する。
鈴香を紹介しながら
挨拶をすると······
アレクシが海外の人と話しているが
困りがちだ。
「絢斗さん。」
と、言う鈴香に頷くと
「アレクシさん?」
と、鈴香が声をかけると
「あっ、リンカ。」
『いかがしましたか?』
と、フランス語で訊ねると
片言のフランス語で答える男性に
ん?と
フランス奥地の方では?と思い
訊ねると
『凄い。綺麗な発音ですね。』
と、言われて
『フランスの大学でフランス語と
日本語を教えていました。
私の生徒にあなたのような
言葉を話す生徒がいました。』
と、お伝えすると
びっくりされてから
喜ばれた。
アレクシさんも
方言が強くて解らなかったと。
『リンカ、すごいよ。』と。
『いいえ。生徒にいたから
話せただけです。』
と、言って
ご挨拶をしてから
その場を離れた。
「すみません。絢斗さん。
ご挨拶の途中で。」
と、言う鈴香に
「ますます、惚れなおした。
ありがとう。」
と、言うと
真っ赤になる鈴香。
まったく、この娘は。
•••その後••••
藤堂 クラーク 絢斗の
奥様への溺愛ぶりと
困っている参加者への
奥様の対応の素晴らしさが
参加された方々から
口々に広まり
鈴香の人気ぶりは凄く
後々、対応が大変だった。
あちこちのパーティに
お呼ばれされて········
まあ、参加させるわけないが。
その上
HOTEL ❝ CLOCHE ❞が
鈴香を想いデザインした事が
余計に拍車をかけた。
【このホテルに宿泊すると
いつまでも仲睦まじくなる。】
と、言うジンクス?が
独り歩きしているとか。
支配人から報告を受けた。