見知らぬ街は異国の風景
店の外に足を踏みだす。先程と何ら変わらないうだるような陽射しに気持ちが滅入る。助けを求めるように振り返ると、一度閉めた扉は既に手の届かない過去に遠ざかっているような気がして、諦めたかのように店に背を向けた。



 蒸せ返る歩道へと身を放り出す。完全に冷えたはずの身体は瞬く間に温度を上げ始め、私は恨めしい表情で高い空を仰いだ。





 視界に映るは、ゆらゆらと蜃気楼。いつかテレビで観た砂漠の映像と重なって見えた。とてもじゃないが彷徨う気にもなれず、幻のように走り来るタクシーに手を上げた。



 流れる風景。初めての街。見知らぬ顔の人達。

 意思とは裏腹に、私はこの風の中で生きていく・・・
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