世界で一番幸せそうに、笑え。
「おはよ!」
毎朝足止めを食らう大きな交差点の信号で、後ろから声をかけてきたのは佐野 灯(さの あかり)。
小学生の時からの友達で、今年やっと念願の同じクラスになることが出来た。
いつも教室では、灯も含めた4人で一緒。
「今日時間やばい?」
「かなりやばい。昨日と同じくらいにはやばい。」
この会話も毎日のもの。
遅刻ギリギリ勢を自称する私たちは、小学生の時からずっとこんな感じ。
高校生になり、2人ともチャリ通に変わったけれど、それはやっぱり変わらなくて。
待ち合わせをしている訳では無いのに、殆ど毎日ここで出会ってしまう。
信号が変われば、お互い無言になり、ひたすら真剣にチャリを漕ぐ。漕ぐ、漕ぐ。
そうやって学校に着けば、もう予鈴は鳴っていて。いつも本鈴がなる30秒前位に2人で教室に駆け込む。担任はもういるし、私たちの席以外に空いている席はない。
こんな生活も、もう2年目の中盤に差し掛かってしまった。