いきなり図書館王子の彼女になりました
放課後。
図書館の入口から中に入ると、司君の姿が目に映った。
眼鏡をかけてカウンターに座っている彼は、冬休み前に本を多めに借りておこうと並んでいる数人の生徒達に、貸し出しの作業を行っている。
一番後ろに私は並び、彼と話せる時間を待った。…一緒に神原先生のサイン会に並んだ日の事を思い出す。
『…寒いから。…こうしててもいいですか?』
柑橘系のいい香りと、
柔らかな、手の感触。
『良くわかります…その気持ち…』
くすぐる様な甘い声、
くるくるとよく変わる、その表情。
『…も〜〜!!!沙織さん、超面白い!!!』
小悪魔っぷりに
時々、翻弄させられて。
『すっごく可愛いなって、思っただけです』
死ぬほどドキドキさせられた。
私が、一番想いを伝えたいのは
想像もつかない物語で、
完璧に魅了してくれる、司君。
順番が回ってきて、
私は司君の目の前に立った。
彼は私を見上げて、目を見開いた。
私は深呼吸してから、こう言った。
「大好きなの…!!」
私はカウンターに座る司君の正面に立ち、
彼だけを見つめながら、愛の告白をした。
「だから…お願い…!!私と、付き合って!!!」
驚いた様子で彼は、
こちらを見ながら
顔が赤くなっていった。
…………この反応、予想外。
…………私まで、
つられて顔が、真っ赤になる。
彼は、小さく口を開き、
震える声で、返事をした。
「…………はい、わかりました」
ますます赤くなった彼は、
突然ぎゅっと私の右手を両手で握り、
「でももう、…………付き合ってない?僕達」
カウンター越しに
恥ずかしそうに微笑むと、
「…………だからキスして沙織さん。今ここで」
そう言って、目を瞑った。
周りにいる生徒たちの、
けたたましい叫び声や、
歓声などが遠くに聞こえる。
今は彼だけ、見ていたい。
私はそっと顔を近づけ、
彼の唇に、キスをした。
カフェ『未来志向』のドアがカランカラン、と綺麗な鈴の音を鳴らして開く。
「いらっしゃいませ!」
窓際のテーブルを片付けていた高野さんに声をかけられ、
「こんばんは」
と私達は挨拶をした。
「君達か。…こちらへどうぞ」
高野さんは一番奥の席に案内してくれて、水とおしぼりを運んで来てくれた。
「ご注文は?」
「ホットコーヒーをお願いします」
「あ、私も」
「かしこまりました」
高野さんは笑って頷き、カウンターに戻って行った。
向かい合わせに座り、二人きりになった私達は、付き合いたてのカップルの様な雰囲気になってしまった。
「…………どきどきしてる。僕」
いつも私をからかってばかりだった司君が、こちらがびっくりするくらい恥ずかしそうな顔をして、赤くなっている。
「…司君が…?」
彼はいきなり私の右手を取り、自分の心臓の部分に当てた。
「…………ほら」
…………伝わって来る。
彼の心臓の音、とても速い。
私にも緊張が伝わってきて
こちらまで赤くなってしまう。
「…すごく嬉しかったんだ。沙織さんが…」
彼は私からまた、目を逸らした。
「告白…してくれて」
小さな丸テーブル一つだけ挟んだ距離。
「キスも…」
私は思い出して恥ずかしくなりながら、向かいの席に座る司君に笑いかけた。
「……伝わった?」
会えなかった寂しさが、少しずつ溶けていく。
「…うん」
テーブルが小さいので、距離がとても近い。ゆっくり2人で話す事自体が久しぶりなので、余計に緊張してしまう。
「…本当に、僕を選んでくれたの?」
…司君。
「…あんな風に、沙織さんに近づいておきながら」
…目の前に、司君が座ってる。
「沙織さんの気持ち、…聞いてなかったし。今更…」
知らず知らずのうちに
涙が溢れて、流れ落ちてくる。
「僕を一番好きになって貰えるのか、…段々自信が無くなって」
自分の制服のポケットから紺色のタオルハンカチを取り出すと、彼は隣の椅子に座り、私の涙を拭き始めた。
「急に怖くなったんだ。…色々」
「黒木君に何か言われた?生徒会室で」
「うん。散々言われた。もう少し真面目に、有沢と向き合え!とか」
ちょっと想像してしまった。
黒木君の、魔獣の壁ドン。
「まるで娘の結婚前夜のお父さん、みたいな…………魔獣雷夢」
私は泣きながら笑った。
「司君も思ったでしょう。黒木君は雷夢だって!」
どうしても、そう思わずにはいられない。
あの鬼気迫る迫力!!
「…うん。僕は雷夢に喰われそうだった…。だけど間一髪で命を救われたんだ。沙織さんに」
私に?
「…………僕のミラ」
彼は、私の手にそっと、口づけをした。
図書館の入口から中に入ると、司君の姿が目に映った。
眼鏡をかけてカウンターに座っている彼は、冬休み前に本を多めに借りておこうと並んでいる数人の生徒達に、貸し出しの作業を行っている。
一番後ろに私は並び、彼と話せる時間を待った。…一緒に神原先生のサイン会に並んだ日の事を思い出す。
『…寒いから。…こうしててもいいですか?』
柑橘系のいい香りと、
柔らかな、手の感触。
『良くわかります…その気持ち…』
くすぐる様な甘い声、
くるくるとよく変わる、その表情。
『…も〜〜!!!沙織さん、超面白い!!!』
小悪魔っぷりに
時々、翻弄させられて。
『すっごく可愛いなって、思っただけです』
死ぬほどドキドキさせられた。
私が、一番想いを伝えたいのは
想像もつかない物語で、
完璧に魅了してくれる、司君。
順番が回ってきて、
私は司君の目の前に立った。
彼は私を見上げて、目を見開いた。
私は深呼吸してから、こう言った。
「大好きなの…!!」
私はカウンターに座る司君の正面に立ち、
彼だけを見つめながら、愛の告白をした。
「だから…お願い…!!私と、付き合って!!!」
驚いた様子で彼は、
こちらを見ながら
顔が赤くなっていった。
…………この反応、予想外。
…………私まで、
つられて顔が、真っ赤になる。
彼は、小さく口を開き、
震える声で、返事をした。
「…………はい、わかりました」
ますます赤くなった彼は、
突然ぎゅっと私の右手を両手で握り、
「でももう、…………付き合ってない?僕達」
カウンター越しに
恥ずかしそうに微笑むと、
「…………だからキスして沙織さん。今ここで」
そう言って、目を瞑った。
周りにいる生徒たちの、
けたたましい叫び声や、
歓声などが遠くに聞こえる。
今は彼だけ、見ていたい。
私はそっと顔を近づけ、
彼の唇に、キスをした。
カフェ『未来志向』のドアがカランカラン、と綺麗な鈴の音を鳴らして開く。
「いらっしゃいませ!」
窓際のテーブルを片付けていた高野さんに声をかけられ、
「こんばんは」
と私達は挨拶をした。
「君達か。…こちらへどうぞ」
高野さんは一番奥の席に案内してくれて、水とおしぼりを運んで来てくれた。
「ご注文は?」
「ホットコーヒーをお願いします」
「あ、私も」
「かしこまりました」
高野さんは笑って頷き、カウンターに戻って行った。
向かい合わせに座り、二人きりになった私達は、付き合いたてのカップルの様な雰囲気になってしまった。
「…………どきどきしてる。僕」
いつも私をからかってばかりだった司君が、こちらがびっくりするくらい恥ずかしそうな顔をして、赤くなっている。
「…司君が…?」
彼はいきなり私の右手を取り、自分の心臓の部分に当てた。
「…………ほら」
…………伝わって来る。
彼の心臓の音、とても速い。
私にも緊張が伝わってきて
こちらまで赤くなってしまう。
「…すごく嬉しかったんだ。沙織さんが…」
彼は私からまた、目を逸らした。
「告白…してくれて」
小さな丸テーブル一つだけ挟んだ距離。
「キスも…」
私は思い出して恥ずかしくなりながら、向かいの席に座る司君に笑いかけた。
「……伝わった?」
会えなかった寂しさが、少しずつ溶けていく。
「…うん」
テーブルが小さいので、距離がとても近い。ゆっくり2人で話す事自体が久しぶりなので、余計に緊張してしまう。
「…本当に、僕を選んでくれたの?」
…司君。
「…あんな風に、沙織さんに近づいておきながら」
…目の前に、司君が座ってる。
「沙織さんの気持ち、…聞いてなかったし。今更…」
知らず知らずのうちに
涙が溢れて、流れ落ちてくる。
「僕を一番好きになって貰えるのか、…段々自信が無くなって」
自分の制服のポケットから紺色のタオルハンカチを取り出すと、彼は隣の椅子に座り、私の涙を拭き始めた。
「急に怖くなったんだ。…色々」
「黒木君に何か言われた?生徒会室で」
「うん。散々言われた。もう少し真面目に、有沢と向き合え!とか」
ちょっと想像してしまった。
黒木君の、魔獣の壁ドン。
「まるで娘の結婚前夜のお父さん、みたいな…………魔獣雷夢」
私は泣きながら笑った。
「司君も思ったでしょう。黒木君は雷夢だって!」
どうしても、そう思わずにはいられない。
あの鬼気迫る迫力!!
「…うん。僕は雷夢に喰われそうだった…。だけど間一髪で命を救われたんだ。沙織さんに」
私に?
「…………僕のミラ」
彼は、私の手にそっと、口づけをした。