いちばん星の独占権
「もうちょっとゆっくり」
「……? ねっちゅうしょう……」
「もっと」
「ねっ、ちゅう、しよ……?」
なるちかくんが何を求めているか、ぜんぜんわからない。
わからないまま、意味不明な要求に従っていると。
ふいになるちかくんの端正な顔が近づいた。
ふっと顔に影がおちる。
「っ!?」
目と鼻の先に、なるちかくん。
わずか数センチしか距離がない、なるちかくんの少しひらいた唇から零れた吐息が肌を柔くくすぐったような気がした。
待って、それ以上近づいたら……っ。
「だめ……っ!」
ドン、と勢いよくなるちかくんの体を押し返す。
何考えてるの、なるちかくん、意味わかんないよ。
あのまま止めなかったら、唇同士がふれあうところだった────
「ほのかちゃんが言ったんじゃんね」
「……っ?」
「ちゅーしよ、って」