いちばん星の独占権
「あの、りんくんっ」
「ほのか?」
「ごほうび、いいよ。……その、あんまり高いものとか、大変なこととかじゃなければ、だけど」
「……マジ?」
りんくんの瞳にキランとハイライトが宿る。
単純も単純。
“ごほうび” のひとつで、こんなに嬉しそうにするなんて、やっぱりりんくんは精神年齢5歳くらいなのかも……なんて。
こんなこと、本人に面と向かって言えば、ぎろっと睨まれること間違いなしだ。
「うん。だから、我慢して」
「……っ、イ……ッ!」
容赦なく、消毒液のしみたガーゼを傷口に当てる。
ぽんぽんと繰り返すと、りんくんが軽く悲鳴を上げた。
涙目、だけど、ぎりぎりのところで「痛い」と叫ぶのをこらえている。
足と、腕と、それから顔と。
ひとまず消毒を終えて、それから外気にふれないように、絆創膏を貼っておく。絆創膏じゃ足りないところは、大きなガーゼを。
「それで……、りんくんが欲しい、ごほうびって?」
ひと通りの応急処置を終えて首をかしげる。
りんくんって、どちらかといえば無欲な方だと思う。
なにかが欲しい、とか、なにかがしたいとか、そんなに言っているイメージがないから、何を要求されるのか、逆にちょっと怖い。