いちばん星の独占権






「きゃーっ、ほのかカワイイ〜〜〜! さっすが私が見立てただけあるし、そもそも素材が良すぎるっ」

「ほ、ほんと? 変じゃない?」

「かんぺき、グッジョブ、間違いなし!」




それは、れーちゃん自身のことでは……。
と、れーちゃんの浴衣姿をまじまじ見て思う。




いつも美人だけれど、浴衣を着ていると一段と美人。

ぱっと華やかな顔立ちに、モダンな浴衣の柄が映えている。




「いや〜、これは麟太郎もメロメロだねえ」

「りんくん?」




なんで、ここでりんくん?



首を傾げる。

それに、りんくんに “メロメロ” という単語が似合わなさすぎる。



メロメロになるとしても、それは、れーちゃんにでは……?




それにしても、れーちゃんってほんとうに可愛いな。

隣に並んでもいいのか、だんだん不安になってくる。




「ていうか、いつの間にか面白いことになっててびっくりしたよ」



れーちゃんがわたしの髪にヘアオイルをなじませながら言う。

どうやら、浴衣だけではなく、髪型までプロデュースしてくれるみたい。

れーちゃんはセンス抜群だから、ありがたいことこの上なし。




「面白い、って」

「あの三上くんと、星祭り行く約束してたなんて……! たしかに、仲良さそうだなーとは思ってたけど! まさか!って」


「もうっ、そんなんじゃないからねっ? あれは、なるちかくんが恋人のひとりもできる気配のないわたしを見かねて……」


「うっそお。三上くんってそういうタイプじゃないでしょー。あれは、絶対、ほのか目当てだね。名探偵レイナにはお見通しなんだから!」





真実はいつもひとつ! のポーズをとりながら、れーちゃんは言うけれど、残念ながらその推理は大ハズレ。





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