いちばん星の独占権






「ひゃ〜っ、さっすが人多いねえ」




道に沿って並ぶ、提灯、提灯、提灯。
────の間に人、人、人、人……。




毎年のことだけれど、やっぱり大きなお祭りなだけあって、人の密集具合がすごい。


この辺りはそんなに都会じゃなく、こんなにも人が集まることが普段はないから、びっくりしちゃう。




「もっと、別のところで集合した方がよかったかなー。これじゃ、どこにいるか全然わかんないねー」




目をこらすように細めたれーちゃん。

たしかに、この人混みのなかで、特定の誰かを見つけ出すのは至難の業かもしれないけれど……。




「だいじょうぶだよ」

「えっ?」

「すぐ見つかるもん」




きょとんとするれーちゃんをよそに、行き交う人の流れをじっと見つめる。

そうすれば、すぐに、ほら。


────見つけた。




「れーちゃん、行くよっ」

「へっ!?」

「見つけた!」

「見つけたって、うそおっ、ほのかの視力どうなってんの?!」




これは視力がどうとかいう話ではなくて────。



れーちゃんの腕を引きながら、人をかき分ける。

そして、たどり着いた。





「なるちかくん……!」




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