いちばん星の独占権
袖をつまんで、軽く引く。
遠慮がちに、そうすれば、なるちかくんの視線がこっちを向いた。
「っ、え、ほのかちゃん?」
「こんばんは、なるちかくん」
なるちかくんは驚いたように目を見開いて、瞬きを繰りかえす。
「この人だかりで、よく俺のいる場所、わかったね」
「なるちかくんを見つけるのは、簡単だよ」
「え?」
「金色が、目印だもん」
今日も相変わらず、ぴかぴかに眩しい金色の髪を指して言えば、なるちかくんは自分の指先で髪にふれて、きょとんとした。
「そんなわかる?」
「うん。なるちかくんの金色は、どこにいても、離れていてもすぐにわかるよ」
どこが違うんだろう。
わからないけれど、なるちかくんの金色は、ほんとうに輝いているように見える。人の海にうもれても、遠く小さくなっても、キラキラひかって、わたしを呼んでいるみたい。
はじめて見た日から、ずっとそうだ。
「明るくて、眩しくて、お星さまみたい」