いちばん星の独占権
思ったまま、言っただけ。
なのに、なぜかなるちかくんは手の甲で口元を覆った。
そして耳が、ちょっと赤い。
「なるちかくん?」
「……いや、うん、大丈夫」
「……?」
「若干、ふいうち食らっただけ」
ふいうち……?
きょとんと首をかしげると、なるちかくんは話題を逸らすべく口を開いた。
「ほのかちゃん、その浴衣────」
「おい」
途中で、皆までは言わせない、という様子でなるちかくんの言葉をぶったぎったのは、もちろん。
「俺の存在忘れんな」
「あ、りんくんも、こんばんは」
「……俺はおまけかよ」
ぶすっとふてくされるりんくん。
もう、すぐに不機嫌になっちゃうんだから。
────そう、結局。
『俺とほのかちゃんで、デートだから』
『あ゛?』
『デートっ!? ほのかと三上くんがっ?』
『そう。な、ほのかちゃん』
『……三上、急に、ウザ。意味わかんねー」
『はは』
『てか、私としてもだよ! 星祭りは毎年りんたろとほのかと行くのが恒例行事だったんだからねっ』
『あー、なるほど』
『ってことで、ほのかと三上くんと、麟太郎と私! 4人で行くってことで今年はどうですか! Wデート!』
れーちゃんが半ば押し切るような形で、4人で行くということにおさまったのだった。
なるちかくんとりんくんはなぜか渋い顔で頷いていて、わたしはというとただただうろたえていたけれど。