いちばん星の独占権
「ほのかちゃん」
「……?」
「似合ってる?」
一度は逸らした視線。
呼ばれて、またなるちかくんの方へ戻せば、浴衣をつまんでなるちかくんは首を傾げていた。
似合ってる、って浴衣のことだよね。
……なんで、わたしに聞くんだろう。
「かっこいい、よ?」
「ふ、ならよかった」
なんで、そんな安心したように、嬉しそうに笑うの。
なるちかくんの一挙一動に、心がおかしくなっちゃうから……そういうの、できれば、やめてほしい。
でも、いやとかじゃ、なくて……。
「ほのかー! そろそろ行くよーっ! 三上くんも!」
「はあい」
一足先に屋台の並ぶ方へ向かったれーちゃんが、こちらを振り返って、手招きしている。
「行こっか」
「うん」
こくりと頷くと、なるちかくんはまた優しく目を細めて、それでまた心臓の奥がくすぐったくなった。
ごまかすように、慌ててれーちゃんの背中を追いかける。
右にはなるちかくん、左にはりんくん。