いちばん星の独占権



「ごめん、困らせた?」

「ううん、別に……気にしてないよ」

「そう?」




なんだか室温が上がったような気がする。

ピピ、とクーラーの温度を2度ほど下げて、すーっとした冷気が通り抜けていくのを目を細めて感じる。



隣のなるちかくんは、ぼんやりと宙を見つめていた。



水曜日、保健室に来るなるちかくんは、特になにをするわけでもなく、ただ保健室にいるだけだ。

なにを考えて、なにを思っているのか、わからない。

どうして、ここにいるんだろう。




「ほのかちゃんってさ」

「……?」

「誰か、すきな奴、いる?」




とつぜん飛んできた脈絡のない質問に息を呑んだ。

誰か、すきな奴……。





「すきなひと、ってこと?」





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