いちばん星の独占権
「とにかくこっちを見ろ、って頭ん中そればっか。星なんて正直、興味なかったけど、覚えたらりっちゃんが少しくらい振り向くかな、とか────……あと、この髪も」
金色の髪を指先でつまんで、かすかに笑う。
その笑みはどこか自虐的だった。
「馬鹿みたいだよな、星になりたくて、金色にしたんだ。金髪にするって、すげえ痛いんだよ、でも、それでも、必死だった」
「……っ」
「そんなことしたって、りっちゃんが今さら振り向いたりなんかしないって俺が、いちばんわかってたんだけどな。りっちゃんに彼氏ができたのも知ってた。……まさか、婚約するとまでは、思ってなかったけどさ」
目を伏せたなるちかくん。
その表情にズキン、と心が疼く。
痛い。
痛い、な。
「一等星って、全天に21なんだって」
「……え?」
一等星?
とつぜんの話題にきょとんとすると。
「21個しか、ないんだよ。────りっちゃんの、いちばんになりたくて、それに執着して必死だったけど、なれないものは、なれないんだよな」