いちばん星の独占権
「っ!」
「俺は、りっちゃんのいちばんにはなれなかったし、これからもなることはなくて、でも────……」
ハッとして、衝動的に体が動いていた。
考えるよりも先に、指先がなるちかくんの頬にふれて、その肌の感触にびっくりすると。
「っ、ほのかちゃん……っ?」
わたしより、ずっと驚いた様子のなるちかくん。
それもそのはず、とつぜん、顔にさわるなんて。
あわあわしながら、弁解する。
「……泣いてるのかと、思って……っ」
なるちかくんの涙をすくうために、指が勝手に動いた。
けれど、なるちかくんの頬は乾いたまま。
どうやら早とちりだったらしい。
「ふ、ほんと、ほのかちゃんって────」
呆れともつかない、なんとも形容しがたい感じに、なるちかくんが優しく目尻を下げて、笑う。
それで、穏やかな調子で続けた。
「泣かないよ」
「え……」