いちばん星の独占権



りっちゃん先生のために染めたという、金色の髪を見つめながら、決意をかためていると。


ドン、と大きな音。




「花火、始まったな」

「ふふ、ここからじゃぜんぜん見えないね?」


「ごめん、見たかった?」

「ううん」




きっぱりと首を横にふる。
花火より、ずっと、この時間の方が大事。


終わらなければいいのに────そしたら、なるちかくんとずっとふたりきりでいられるのに。




“なるちかくんの気持ちを守りたい” なんて格好つけたことを考えたりもするくせに、ほんとうは、同じくらいわがままなわたしもいるの。



たとえば、なるちかくんが傷ついてほしくないからって、りっちゃん先生と婚約者さんのデートの現場からなるちかくんを遠ざけた、あれは、ほんとうになるちかくんのためだった?




……ううん、ほんとうは。

ほんとうは、わたしのためだったかもしれない。




りっちゃん先生の姿を見て、動揺するなるちかくんの姿を見て、またなるちかくんからりっちゃん先生への矢印をまざまざと見てしまうのが、きっと、怖かった。


傷つきたくなかったのは、わたしの方だったかもしれない。




────だって、ほんとうは。




「なるちかくん」




ほんとうは、なるちかくん、こっち見て、って、思ってる。



振り向いて、わたしに恋をしてくれたら、そしたらあんな悲しそうな顔はさせないのに。



……なんて。
そんな起こりっこないこと考えて。





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