いちばん星の独占権
「うん? ほのかちゃん?」
呼べば、振り向いてくれる。
ただそれだけのことがわたしを舞い上がらせるの。
心が騒がしくて仕方ない。
「えと、きれいだね?」
「はは、なんで疑問形。それに、花火、ぜんぜん見えてないけど」
「む……」
「ま、でも、綺麗か」
頷いたなるちかくん、なぜかじーっとわたしを見つめてる。
その視線に恥ずかしくなって、空を見上げて、逃れた。
たしかに花火はまったくと言っていいほど見えないけれど、ヒュルル、ドォン、と音が響くたび、夜空ごとカラフルに明るく染まる。
わたしの心みたい、ピンクかと思えばすぐにブルーになって、また次の瞬間にはイエロー。
「そうだ、ほのかちゃん、手出して」
「手?」
言われたとおり、両手を広げてぱ、と見せると。
なるちかくんがコロン、となにかを置いた。
「欲しかったら、あげる」
「え?」
「要る? ハズレ賞だけど」