いちばん星の独占権
今でこそ俺の方が高いけれど、昔はりっちゃんの方がずっと背も高くて、ずっと難しい計算問題で頭を悩ませていて、いつも、俺には見えない景色を見ているような大人びた横顔が印象的だった。
────憧れだったんだと思う。
隣に住んでいるのに、どこまでも遠くに行ってしまうようなりっちゃんに追いつきたくて、憧れて、強く憧れて、それがいつのまにか恋にすり変わっていた。
『なるくんは、私にとってかわいい弟みたいな存在なんだよねえ』
いつか、そう言ってりっちゃんは嬉しそうににこにこ笑っていたけれど、俺はいつだって苦しかった。
りっちゃんと過ごす時間は、正直、しんどくて仕方なかった。
いくら手を伸ばしても、指先が背中に届くことすらない。きっと、永遠に掴めることはない。
身長が伸びても、勉強を頑張っても、相変わらずりっちゃんは遠いままで、それはたぶん一生変わらないんだと知っていても、思い知れば思い知るほど、のめりこんでいく。
途中から、躍起になっていた。
ただ、ひたすらがむしゃらだったんだ。