いちばん星の独占権
あのとき俺はうだるくらいの高熱で、意識もぼやぼやしていて、ピントもうまく合わなくて────なのに。
とつぜん、その子は俺の世界に飛び込んできた。
『うらやましい』
きらきら輝く瞳のど真ん中に俺をうつして、彼女はいたって真剣な顔をしてそう言った。
そんなことを誰かに言われたのははじめてだ、ずっと、うらやましくて憧れて、でも届かない、そんな日々を過ごしてきたから────おかしくて思わず笑うと。
『……なるちかくん、なんで笑うの』
“なるちかくん” 。
いきなり、名前呼び?
『面白いね、きみ』
最初は、ほんとうにそれだけだった。
『ええと、枢木ほのか、といいます』
『ほのかちゃん、な。覚えた』